式模様

等式・不等式の美しさを味わおう!

重要な数を詰め込みまくったオイラーの等式

初めまして. 等式担当の森です. 

 

今回は最初の記事ということで, 美しい等式といえばおなじみ, みんな大好きオイラーの等式です!

\Huge e^{i\pi}+1=0

 

これはもう, 世界一美しい等式とまで評されることもあるほど有名なものですね.

 

映画化もされたこの小説でも有名になりましたね.(自分は読んでませんが...)

 

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

 

 

しかし数学を専攻していない人からすると「数式が美しいとか気持ち悪い!」と思われてしまうようで…

そこで今からこの式の美しさを観察していきましょう.

 

まずぱっと見の印象として, 短い!シンプル!これは美しいと言える要因の1つでしょう.

 

しかし, この式が美しいと言われる一番の要因は, 使われている数字たちにあります. 

 

数学において重要かつ有名な定数である,円周率 \huge \pi, 自然対数の底(ネイピア数) \huge e, さらには虚数 \huge i が1つの式の中で共存しています!

 

この3つの数はそれぞれ全く別のところから誕生しています. 

まず, \pi は円の直径に対する円周の割合という, 幾何的な定数です. 

次に e は, \displaystyle\lim_{x\to\infty}(1+\frac{1}{x})^x で定義される解析的な定数です. (他の定義でも極限により定義されるので, 解析的なものだと感えられます.)

最後の i は, 二次方程式 ax^2+bx+c=0 をいつでも解きたいというところから生まれた, 代数的な数です. 

これらが混ざり合って1つの式を作り出すというのは, それぞれの分野がある意味1つに結びついていることを意味し, 非常に重要であると言えます. 

 

まあ, ここまで真面目に考えなくても, \pie も無理数であり, i に至っては実数ですらないのに, 組み合わせると整数が出てくるというのは直感的には不思議な感じがしますよね!

 

これで終わってはいけません!使われている整数0と1も数学において超重要なものです!

 

\mathbb{R} (実数全体) あるいは \mathbb{C} (複素数全体)において, 0と1はそれぞれ足し算+の単位元, 掛け算×の単位元です. 

単位元の定義は次のようになります.

(M, ∗) を集合 M とその上の二項演算 ∗ のなすマグマとする。M の元 e が ∗ に関する(両側)単位元であるとは、M のすべての元 a に対して

a*e=e*a=a
を満たすときにいう。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/単位元

マグマは二項演算の入った集合という意味です. (よく分からなければ無視して大丈夫です.)

つまり, 任意の元は演算によって単位元との結合による影響を受けないという, 特別な性質を持ったものが単位元です. 

 

要するに, どんな数に0足しても変わんないじゃん!1かけても変わんないじゃん!すげー!って話です. 

この意味で, 0と1は重要であり, 特別視されるべき数字です. 

 

ということで, e^{i\pi}+1=0 という式の中に無駄なものは一切ないというわけですね!(“=”は等式となるために必要. “+”は...まあご愛嬌ということで許してください(笑))

 

ところで,このオイラーの等式は, オイラーの公式 e^{i\theta}=\cos{\theta}+i\sin{\theta} の \theta=\pi である特別な場合として導かれるため, 

e^{i\pi}=-1

とも表記されますが, これは良くありません. 確かにより短くなってはいますが, 重要な0が含まれていないし, 1と-1では意味合いが大違いです. これでは美しさが半減してしまっています. 

この感覚が伝われば, この記事の趣旨としては完璧です.

 

最後に2つの式を見比べてどちらが美しいかじっくり考えてみてください. 

 

\Huge e^{i\pi}+1=0

\Huge e^{i\pi}=-1

 

ということで, オイラーの等式の美しさについて観察してみましたが, 定番すぎて新しいことはあんまりなかったのかな?

まあ, 式が美しいと感じる理由について少しでも納得してもらえればいいなーと思っております. 

 

では, 次の等式でお会いしましょう.